ギリシャ神話の最高神ゼウスの威厳のある表情を写し取ったようなカメオ
- 商品番号 /C4012W
- 年 代 / 1860年頃
- 国 名 / イタリア
- サ イ ズ / 縦:47.6mm 横:37.8mm 厚さ:14.5mm(留め具を除き)
- 素 材 / サルドニア貝、金
私がアンティークのカメオを扱うようになったのは、パキスタンのペシャワールの骨董屋で目にしたガンダーラ遺跡のヘラクレス像と同様の感動をロンドンの骨董市でゼウスやヘラクレスのカメオを手にした時に感じだからです。
その後、ロンドン万博に出展されたカメオを扱う機会もありましたが、それもゼウスのカメオでした。
ゼウスのカメオは19世紀前期には人気のある題材でしたが、19世紀も後半になると女神をモチーフをしたものが主流を占める様になり、ゼウスやヘラクレスなど男性的なモチーフは減っていきます。
猛々しい姿のカメオよりも優雅な女性的なモチーフが好まれる傾向へと移り変わっていったのでしょう。そのためゼウスのカメオは現在マーケットでも見かけること自体がかなり減ってきました。
その中でもこのゼウスは貝の凹凸を見事に生かした立体感があり、髭や髪の巻き毛の彫りは細かく丁寧に深く彫られています。髭と髪の彫り方が異なり、写実性に優れています。髭は髪よりも短いため、カールが細かく、髪の毛はより長く厚みが感じられます。樫木の髪飾りにも躍動感があります。
貝の状態も良好で、白地と茶色の背景がはっきりと分かれています。立体感があるため重そうに見えるのですが、手に取ると驚くほど軽いです。先に上げたように貝の凹凸を生かしているため、貝を裏からも彫り貝は立体的ですが厚みは一定に保たれているからです。
改めてみると顔の骨格にも威厳があり眉間から鼻筋へのラインに男らしさ漂います。目は静かなのですが、全てを見通すような神々しさが感じられます。
フレームは金でできたシンプルなもので却ってカメオの彫りの細かさが浮き立っています。
澄んだその表情からは博物館の中に展示された大理石のゼウス像を見上げている時と同じものが感じられます。
大きさも縦に47.6mmあり19世紀のカメオの一般的なサイズですが、フレームがシンプルなので威厳があるカメオでも使い易いでしょう。
全宇宙や天候を支配する全知全能の神ゼウスをモチーフとした逸品です。