ニュクスの娘である昼を表した女神ヘメラ、日が昇る姿を捉えたようなカメオです。
- 商品番号 /B4004V
- 年 代 / 19世紀後期頃
- 国 名 / イタリア(枠はイギリス)
- サ イ ズ / 縦:60.4mm 横:53.6mm 厚さ:14.7mm(留め具を除き)
- 素 材 / コロニアル貝、ゴールドプレート枠
運よくニュクスの対をなすヘメラをモチーフとしたカメオが手に入りました。
ヘメラはカオスとニュクスの娘であり、西の果てにニュクスと共に住んでいます。ニュクスが家を出ると太陽が昇り、夜が明けます。日の出の姿を女神に例えたのがヘメラであり、太陽神ヘリオスなどよりも古くから信仰されていた女神です。
カメオを見ても、雲の中に現れたヘメラが日が昇るように右上方を向いています。
頭部の髪の毛の彫りなども大変繊細で、オレンジ色の層を生かし薔薇の花と葉が立体的に花弁の一枚一枚まで細やかに彫られています。少し色のついた髪飾りとは対照的に肌は純白の層を滑らかに彫り上げられており、時間をかけて磨き上げられているのが解ります。頭部や翼を広げた鳩の羽の一つ一つが大変細かく彫られているため、却って肌の滑らかさが際立ち、生きたような肌の透明感と柔らかさが表現されています。
下部には、薔薇の花が入った豊穣の角コルヌコピアを持った鳩が天界高くを飛翔しています。
フレームはパイプ状になったシンプルなものですがボリューム感があり、カメオにあった雰囲気のゴールドプレートのオリジナルの物が使われています。
貝のオレンジの色合いもヘメラに相応しい暖かな太陽を表現しているような色合いです。貝の左側の背景部分には斜めに貝の層がでていますが裏にはなく、しっかりと貝に厚みがあり問題はございません。
ニュクスが母性的な表現であるのに対し、ヘメラは若々しい英気を持った表情をしており、力が湧いてくるようです。
19世紀のカメオならではのリアリティー感がある優れた彫りの作品です。