白きエナメルに映えるデマントイドガーネット
- 商品番号 /MR37M40184
- 年 代 / 1900年頃
- 国 名 / イギリス
- サ イ ズ / 縦:25mm 横:25mm 厚さ:6mm(留め具は除き)
- 素 材 / デマントイドガーネット、天然真珠、エナメル、金
明るい蛍光色の色彩のデマントイドガーネットと天然真珠の穏やかな白さ、純白の上にドットが施されたエナメルが融合したブローチです。
デマントイドガーネットは1853年にロシアのウラル地方のタージニー・キール村を流れるバルロコフ河の川底から初めて発見されました。その魅力はやはり石の屈折率がダイアモンドに次いで二番目であり、反射分散光の強さを示す分散度は全ての宝石の中で最も高い数字を示すことです。そのため強い反射光を放つ宝石としてロマノフ王朝の王族に愛用され、やがて欧米の富裕層の間でも人気を博しました。
先日、虎ノ門ヒルズで開催されております「ティファニーワンダー」展に行ってきました。そのコレクションの中にもこの作品同様にデマントイドガーネットとエナメルを組み合わしている作品が展示さていました。20世紀初頭に作られたものでした。
以前、読んだ文献でティファニーがデマントイドガーネットを愛用したという記述を目にしましたが、20世紀初頭の短い時期だけに使用されていたことが実際に確認できました。展示されている作品を見ながら、先日買い付けてきましたこのブローチことが脳裏に浮かんでいました。
このブローチには白いエナメルに黒いドットが模様が描かれ、両端にはオタマジャクシのような円の一方向が伸びた模様が入れられています。こうした模様はまるで当時エナメルを使用した一級のジュエラーであるジュエリアーノの作品を彷彿とさせてくれます。エナメルの模様はルーペで見ると金の枠で囲まれた凹みの中に白いエナメルとその上に黒い模様を手描きで施し焼き付けていることが伝わります。エナメル特有のガラス質の光沢は焼いていない塗料とは異なる焼き付けによる琺瑯のような質感があります。
デマントイドガーネットとエナメルに挟まれ、目立つことはないのですが、天然真珠が温かみのある輝きを添えてくれています。養殖ではなく天然の無核真珠のため、近くから覗いてみると真珠層の厚みが感じられます。この時代多く使われているハーフカットではなく玉の形をした物が使われ、ナチュラルパールのため、完全な真玉ではなく、少し上下が左右よりも短い物です。台座から芯留めされています。
針の受けの構造などからすると、19世紀末から20世紀に入りかけた頃までに作られた物だと判断できます。ちなみに針の根本の金の輪が連続して連なったような作りにも作品のクォリティーの高さが伺えます。
また、実際に身につける際にサークルブローチ「少し曲がっているなど」の針を通す角度などを気にせずに使えることも良いところです。
20世紀初頭のファっシャンに敏感であったろう富裕層向けに作られれた優美な作品です。