青春の女神へ―べカメオ 銀座アンティーク・アイ

不老不死のお酒ネクタルを鷲に化身したゼウスに捧げる女神へ―べのカメオ

• 商品番号 /C4015V
• 年 代 / 1860～90年頃
• 国 名 / イタリア
• サ イ ズ / 縦：62.5mm 横：54.5mm 厚さ：14.7mm(留め具を除き） 
• 素 材 / サルドニア貝、真鍮にゴールドプレート

構図がバランス良くまとまったカメオです。サルドニア貝の白と茶色のコントラストを生かし、膝をついて屈むへーべの所に大きな羽と胴を丸めた鷲が体を寄せています。嘴はネクタルの入った大きな皿に入れられ、酒を飲んでいます。

楕円の貝の形に合わせ鷲の姿は表現され、白地と背景の茶色の面積のバランスがとれているためにへ―べと鷲が非常に立体的に浮かび上がります。

鷲はゼウスの化身に相応しく威厳のある顔の表情をしており、翼はまるでへーべを包むほどの巨大さで羽の一つ一つが丁寧に彫りこまれています。左側には鷲の爪も覗いています。

へ―べは全身像の姿で表現されていますが、顔の表情もしっかりと彫られています。髪の毛も巻き毛に彫られていますが、若干摩耗が感じられます。ローブをまとった体は布の中の姿勢が伝わってくるように見事に布の弛みや皺寄せなどの表情を捉えています。胸元には壺も抱えられています。

下部の床は大理石を敷き詰めたイメージなのでしょう。最下部がこちら側に向かって飛び出すように厚みがあり、場面が舞台のように立体的に映ります。

フレームはヴィクトリア時代らしいパイプ状のボリュームのあるもので葡萄の蔦を表しており、上下左右には葡萄の葉が飾られています。その葡萄の葉は一つ一つが立体的に丸みを帯びて打ち上げられ、表面には模様が彫りこまれています。一見見たところでは気付かないのですが、右側の葉の右上部が欠損していました。

これはへーべがネクタルという不老不死のお酒つまり葡萄酒を神々に捧げる女神であることからワインの原料である葡萄をそのフレームにデザインしているのです。

裏面をみると、フレームの上部に小さな輪がありますが、これはストッパー用のチェーンを留めるための物です。今はシリコンストッパーを使えば安心してご使用いただけます。また、針の受けもストッパーが付いたものに交換されておりより安全です。

貝の状態は良くヘアーラインやヒビ、傷などもありません。手に取ると見た目と異なり軽量で、実用的です。横顔ではなく全身像のカメオをお探しであった方に是非お勧めしたいカメオです。

へ―べは不老不死の神酒ネクタルを捧げる女神であることから年を取らない者とされ、永遠に若々しさを保つことから青春の女神と呼ばれています。