ヴェスピオス火山の溶岩の堆積物であるラーヴァを使った豊穣の女神デメテルのカメオ。
- 商品番号 /C4013V
- 年 代 / 19世紀中期頃
- 国 名 / イタリア
- サ イ ズ / 縦:57.2mm 横:48.1mm 厚さ:18.2mm(留め具を除き)
- 素 材 / ラーヴァ、銀
ラーヴァを使ったカメオをヨーロッパのアンティークマーケットで見かけなくなりました。恐らく10年以上前には日本のアンティークジュエリーのほぼどこのお店にも並んでいたであろうラーヴァカメオも、今ではほとんど扱っているお店が無くなってきました。そう感じている人も多いと思います。
実際にはイギリスに仕入れに行けば完全に見かけることが無くなったわけではなないのです。しかし、そのほとんどが仕入れることができない品です。というのはラーヴァを使ったカメオの多くは厚みがあります。そのため、髪飾りの花弁や葡萄の実、女神の鼻や巻き毛、全身像ならば指などが欠けてしまっているものが9割を占めます。
「あった!」と、マーケットで見かけてもよく確認すると結局買えないことが多いのです。
そうした中、久しぶりに入手できた完品のラーヴァカメオです。
彫りも細かく大変写実的です。厚みを生かし正面彫りになっており、頭部には豊かな麦の穂が飾られ、透かし状に浮き出ています。髪の毛の一本一本なども大変細やかで耳元から垂れるカールした髪の毛はシェルカメオでは見られないような表現です。
顔の表情も大変写実的で今にでも動き出し語り掛けてきそうです。
カメオでは瞳を表現することはあまりないのですが、このカメオでは瞳まで立体的に丁寧に彫られており、驚かされます。鼻も穴まで自然に表現され、唇も素材がラーヴァであることを忘れてしまう程に滑らかに柔らかさが伝わってくるようです。見つめていると上下の唇の間から息が出るのが感じられそうです。
サイズも通常のラーヴァカメオよりも大きく縦が5.72cmと存在感があります。しかしシルバーのフレームはシンプルなためお洋服にも馴染みやすいです。正面彫りで厚みと大きさもあるため、ある程度厚手の生地に合わすことをお勧めします。垂れ下がる場合には裏側に当て布を挟むと安定感が増しお辞儀しにくくなります。
裏側をみると上部に小さな輪が付いていますが、これではチェーンなどを通すのは難しいので、ご希望がございましたら、もう少し大きいバチカンに交換いたします。背景右側と顎の右下に黒い小さなシミがありますが、これは表面ではなく内部にもあるようです。裏側を見ても同様の黒い点があるので、石にもともとあった物かと思います。
19世紀にポンペイを訪れた裕福なイギリス人の子弟が本国に持ち帰ったであろうラーヴァカメオの逸品。
彫りが素晴らしいですが、価格も非常にリーズナブルにご提供できた希少品です。